ウクライナではNABU(国家汚職防止局)とSAPO(特別汚職検察庁)がゼレンスキー政権を汚職高官を次々と逮捕し始めていて話題になっています。ゼレンスキー大統領は7月にこの機関を掌握る法案を成立させたものの、さすがに強硬な反発にあいて撤回せざるを得なくなったため、まだこの機関を掌握できていない。
ただ彼らが自分たちの意思だけでここまで動けるとは思えず、ゼレンスキー降ろしの序曲ではないかとの噂もある。
◇ゼレンスキー大統領在任中の最大の汚職スキャンダルは彼自身の階級にある(2025/11/13: The Kiev Independent)
https://kyivindependent.com/biggest-corruption-scandal-of-zelenskys-presidency-is-in-his-own-ranks/
・ゼレンスキー大統領は大統領選挙運動中、当時のポロシェンコ大統領の汚職と縁故主義を攻撃していたが、自身の大統領就任から6年が経ってスキャンダルまみれになり同じ批判を受けている。
・キエフ国際社会学研究所による2024年の調査によれば、ウクライナ人の約50%がゼレンスキー大統領が大統領選挙公約を果たしていないと考えており、彼が成果を上げられなかったと感じた人のうち、50%が「チーム内の不誠実で腐敗した人々」を挙げ、32%が有能なスタッフの不足を指摘した。
・エネルギー汚職スキャンダルは今も続いており、現在進行中の逮捕公聴会では毎日新たな詳細が明らかになっている。それがどこへ向かおうと、フェセンコ氏(政治アナリスト)はゼレンスキー氏が「避けられない」評判の低下に直面するだろうと考えている。
◇検察官が公聴会でウクライナ最大の汚職事件における影響力行使ネットワークについて説明(2025/11/12: The Kiev Independent)
https://kyivindependent.com/prosecutors-describe-major-influence-peddling-network-in-ukraines-biggest-graft-case-2/
・検察当局は11月11日から12日にかけて行われた公聴会で大規模なエネルギー汚職事件の容疑者が広範な影響力を行使するネットワークの一環として政府高官を操作した疑いで発表した。この公聴会は、11月11日に国営原子力発電会社エネルゴアトムが関与した大規模な汚職事件で、国家汚職防止局(NABU)が贈収賄、職権乱用、不正利得の容疑者8人を起訴した後に開催された。
・首謀者とされる人物は、ゼレンスキー大統領の側近であるティムール・ミンディッチ。
また、「ドミトロ・バソフ」「イホル・ミロニウク」「イホル・フルセンコ」「レシア・ウスティメンコ」が逮捕された。同じく汚職防止局に既に拘留されている「リュドミラ・ゾリーナ」の逮捕はまだ検討されてない。他の2人の容疑者、「ミンディッチ」と「ツケルマン」は逃走した。
・最近、ミンディッチはウクライナ軍事情報局長「キリロ・ブダノフ」氏と会い、大統領府がスキャンダルに対処するのを介入しようとしたとされる、とウクライナ・プラウダ紙が11月6日に情報筋の話として報じた。
・また、この事件に関連してNABUが公開した盗聴テープに登場したもう一人の人物、州エネルギー規制委員会のメンバーである「セルヒイ・プシュカル」氏も11月11日にウクライナを出国した。彼はまだ起訴されていない。
・さらにNABUのテープによると、ゼレンスキー大統領はミンディッチ、ツケルマンとの会話中にミンディッチ氏からメッセージを受けて、ハルシチェンコ司法相(元エネルギー相)に電話をかけたとされる。
・検察側は公聴会で、エネルゴアトム計画の容疑者らは国家捜査局への賄賂についても話し合っていると述べた。NABUの盗聴テープによれば、「バソフ」は5月に国家汚職防止庁(NAPC)に2万ドルの賄賂を渡したともされている。
◇ゼレンスキー氏、1億ドルの汚職スキャンダルを受け、側近を制裁へ(2025/11/12: The Kiev Independent)
https://kyivindependent.com/zelensky-to-impose-sanctions-against-his-close-associate-mindich-following-large-scale-corruption-probe-sources-say/
・ゼレンスキー大統領はオレクサンドル・ツケルマン氏とその側近ティムール・ミンディッチ氏に制裁を課す予定だ、と大統領府関係者がキエフ・インディペンデント紙に語った。
・11月11日、国家汚職防止局(NABU)は8人を贈収賄、職職乱用、不法利得の罪で起訴した。暗号化された通信を使用して、国営原子力発電会社エネルゴアトムとの取引に対するリベートや賄賂の疑いについて話し合った盗聴捜査テープも公開した。同局によると、汚職疑惑の主な主催者はミンディッチ氏で、彼は大統領の昔の映像製作会社の共同所有者。
また、マネロンは1億ドルにのぼる。
・(大統領は制裁を課すと言っていたが)ツケルマンとミンディッチは、逮捕直前にまんまと海外逃亡を図った。

