今回の参議院選挙でもテーマになった消費税。1989年に導入されたのですが、どうやら本質がかなりぼかされているようなので、一度整理してみようと思いました。
(1) マクロ経済計算と消費税:
・「消費」ってどんなものというのはイメージはできますが、消費を計算をするにあたっては「消費とは何ぞや」という定義が必要になります。その為にはマクロ経済計算の予備知識が少々必要になります。
・まずはよく耳にする国民総生産(GDP)です。一般的にGDPの大きさが経済力を測る指標とされ、その成長率が経済成長の指標とされるものです。これは端的言えば、経済活動において生み出された「付加価値」の合計です。例で示します。
(例) ある仲良し兄弟2人が商う商店を仮定します。この商店が1万円で仕入れた商品を1万2千円で販売し、兄弟はそれぞれ千円ずつ受け取ったとしましょう。
①この差額全体の2千円はその商店の「企業活動=努力」が生み出した付加価値になります。これを「生産(=企業活動)」面からみた付加価値と言います。
②この例で別の見方をすると、売上の1万2千円のうち、1万円は仕入先に払われているので、2千円が仲良し商店主に千円ずつ「分配」されたと考えます。これを「分配」面から見た付加価値と呼びます。
③さらに別の見方をすれば、お客さんは1万2千円支出してますが、その内1万円は商店の仕入先に支払われるので、商店主には2千円が「支出」されます。これを「支出」面からみた付加価値と呼びます。
ちょっとややこしいですが、同じことを少し別の言い方で説明しているに過ぎません。即ち、
【生産面】企業が作る付加価値を合計したもの
【分配面】その付加価値を「誰が受け取ったか」に着目したもの
【支出面】その付加価値を「何に使われたか」に着目したもの
で、これらは(当たり前ですが)すべて同じ金額です。1つの出来事を違う視点で説明しているだけです。日本中のこの付加価値を集計したものが国民総生産(GDP)です。消費税というのははこの付加価値(GDP)に課税するもので、これ例では2,000円×10%で200円になります。
・支出面のGDPはこのような内訳に分けることができます。
<支出面から見たGDP>=消費(C)+投資(I)+政府支出(G)+(輸出(X)-輸入(M))
実は消費はこのうちの半分を占め、それ以外の投資項目にも消費税がかかっていることがわかります。(下図)
これを以て「消費税は消費に対する罰金」と呼ぶ人もいる。つまり、消費や投資に確実の負のインパクトを与えることになるからです。

(令和3年版消費者白書)
では今現在一般的な家計がどれくらいの消費税を負担しているとすると、サラリーマン世帯平均年収を460万円として、平均消費性向を70%とすると、ザっと計算して30万円程度(=6.5%)の消費税を払っていることになります。こうやって計算すると結構な金額ですよね。それ以外の所得税・市民税で30万、社会保険で50~60万円程度払ってるでしょうし、それ以外にもガソリン税、車関係、道路、電気代など。国民負担率は50%に近づきつつあるらしい。これって社会全体主義国かと勘違いしますね(勘違いではないかも知れませんが)。
消費がどれほどのインパクトを受けているのかは、下記グラフを見ればわかります。消費税率値上げで消費が落ちています。この30年(1995年~2024年)の四半期ごとの平均GDP成長率は0.36%でしかない


