消費税に関してまとめ(3)~消費税は間接税?

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(3)消費税は直接税か間接税か:

・よくある啓蒙サイトに「消費税は間接税です。何故なら私達がお店などで買い物をする際に消費税を支払いますが、納税者は私たち消費者ではく、そのお店になるからです。」と。
しかし、これまでの議論で分かるように、これはウソです。消費税はサプライチェーンの各段階で課税され、サプライチェーンにかかわる人々が直接納付します。従って「納税者=担税者」なので直接税が正しい。間接税は「納税者(特別徴収義務者と呼びます)が担税者から政府の代理で徴収して納付する」もので、よく引き合いに出されるのは入湯税、ゴルフ場利用税とかです。これらは施設利用者が負担し、施設が代理徴収し預かって政府に納付します。従って入湯税を旅館がネコババすると立派に横領罪が成立します。

・ですから、これもよく言われる「消費税は消費者からの預かり金」というのもウソです。1989年の消費税導入時に判例があります。
「年商3,000万円以下の事業者は免税事業者ということで、消費税を免除されているのに対し、それは消費者から預かった消費税を事業者がネコババしていることになるから横領だ」という考えを持ったサラリーマンが、東京で裁判を起こしました。結果は原告の敗訴であり、判決理由としては、

「事業者が取引の相手方から収受する消費税相当額は、あくまでも当該取引において提供する物品や役務の対価の一部である。この理は、免税事業者や簡易課税制度の適用を受ける事業者についても同様であり、結果的にこれらの事業者が取引の相手方から収受した消費税相当額の一部が手元に残ることとなっても、それは取引の対価の一部であるとの性格が変わるわけではなく、したがって、税の徴収の一過程において税額の一部を横取りすることにはならない。」

ということ。下記に判決文のURLを置きますが、多くのブログで解説記事があります。

◇東京地方裁判所 平成元年(ワ)5194号 判決 1990年3月26日
https://minorusan.net/l/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80%20%E5%B9%B3%E6%88%90%E5%85%83%E5%B9%B4%EF%BC%88%E3%83%AF%EF%BC%89%EF%BC%95%EF%BC%91%EF%BC%99%EF%BC%94%E5%8F%B7%20%E5%88%A4%E6%B1%BA

・つまり、税込110円という、価格は100円(税抜)+10円(消費税)ではなく、あくまでも「110円全体が商品価格」ということだということです。それはつまり、消費税率が上がっても事業者は値上げをする義務はないということです。逆に事業者による消費者価格の政府お墨付きの値上げなのです。つまり、事業者に値上げさせて税金を徴収したかったのですが、事業者は消費者による抵抗を和らげるための方便であった可能性があります。

・更に言えば消費税導入当初に言われていた「直間比率是正が目的」というのも「ウソ」かよくて「デタラメ」ということになります。単に法人税を下げる理由が欲しかったのでしょう。

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